Special02 全3話連載「テレビ局」と「制作会社」の関係 高橋利之(日本テレビ)×相川弘隆((株)いまじん代表取締役社長)

第2話 面白いテレビ番組の法則とは タレントを活かす演出に気づいた『行列のできる法律相談所』。

紳助さんはまるで予言者のようだった

対談風景

インタビュアー: —それでは続いて、今度は「テレビ番組」そのものに焦点を当て、テレビ番組の持つ面白さとは何か、さまざまな角度からお伺いしていきたいと思います。高橋さんが総合演出をなさっている番組『行列のできる法律相談所』についてお聞きしたいのですが、特番から始まり、今や毎週高視聴率を叩き出す人気番組に成長しましたね。

相川:やっぱり僕らにとって、島田紳助さんに出会ったことが大きかったですね。最初に紳助さんに企画を見せに行ったとき、「この企画は当たる。これからは法律だ」っておっしゃっていただいたんですよ。

高橋:そうでしたね。

相川:「この番組で、僕は三度目のブレイク期を迎えられる」って、まるで予言者のように言っていましたね。

高橋:自分の人生にとって大きな転機になる番組じゃないか、と。これ、まだゴールデンに進出する前の話ですよ。その後、レギュラー番組化が決まった時には、「最低でも5年は続く」っておっしゃっていました。僕は始め、サービスでそういうことを言う人なのかな、と思っていたんですよ。でも、全然違う企画を持って行って、ボロックソに言われたディレクターも知っていますから(笑)、そうではないんだなと。

インタビュアー: —そして、まさにその通りになりましたね。

相川:すごいですよね。「法律をバラエティする」という内容のみが書かれた紙一枚で、そこまで見通しちゃうんだから。

インタビュアー: —企画に乗り気だと、紳助さんご自身も楽しくご出演されたんじゃないですか?

高橋:その頃、紳助さんの番組は『嗚呼! バラ色の珍生!!』であるとか、VTR中心のものが多かったんですよ。僕は紳助さんとお仕事をするのは初めてだったので、そういう意味でスタジオ収録でのトークっていうのを見たことがなかったんですが、もう面白くて面白くてね。その結果、用意していたVTRを何本か飛ばしたんですよ。それで、収録中に紳助さんのところに行って、「トークが相当面白いんで、2、3本VTR飛ばしますね」って伝えたらさらに馬力がかかっちゃって、ものすごく面白いトークになったんです。

法律を題材にした「トーク番組」

インタビュアー: —準備していた流れを変更してしまうほど、トークが面白かったんですね。

高橋:そうなんです。レギュラー番組にする時に、法律のネタがもつのかと心配されたんですけれども、「これは法律を題材にしたトーク番組だから大丈夫です」と返事をしたのを、はっきりと覚えていますね。やっぱり「紳助さんがいる」っていうことに対する自信があったんでしょう。それ以前は、僕もVTRを中心にした番組を作ることが多かったんですけど、『行列のできる法律相談所』以降はスタジオを活かす、タレントさんを活かす演出もあるんだな、と気づいたんです。

インタビュアー: —紳助さんと一緒に番組を作る上で、工夫していたのはどんなことでしょうか。

相川:こちらから、これどうでしょう、あれどうでしょうと提案するというよりは、いかに気持ちよくしゃべってもらうか、という雰囲気作りをすることに尽きますね。紳助さんはべつに台本も読むわけじゃないし、VTRも見てくるわけじゃない。でも、毎回自分のテーマを持って臨んでいて、2時間なら2時間をきっちり喋り切ります。自分の中に、出演者をどういじるかという引き出しが、しっかりあるんでしょうね。あの話芸は、本当に素晴らしいと思います。

法律を題材にした「トーク番組」

対談風景

インタビュアー: ー『人生が変わる1分間の深イイ話』も、紳助さんのトークを前面に押し出そうと演出されているんでしょうか?

高橋:いえ。あの番組はもともと、ちょっと落ち着いて「人生、どう生きるべきか」ということについて考えてみたいという、企画ありきの番組なんです。本屋さんに行くと、だいたい「どう生きるべきか」といった内容の本を集めたコーナーがありますよね。それを見て、生きる指針を与えてくれるような話って、みんなが求めているんだという気がしたんです。それじゃあ、いい話をどんどん紹介していこう、と思ってこの番組を立ち上げたんです。

インタビュアー: ー企画の面白さで勝負しようというところから出発した番組なんですね。

高橋:そうなんです。で、スタジオは誰がいいかな、という話になったんですが、やっぱり紳助さんしかいないな、と。じつはタイトルになった「深イイ話」も、『行列のできる法律相談所』の中で紳助さんが「今の話、深いな」って言うことがあって、その口癖と「イイ話」っていうのを合体させたものなんですね。だから、その意味でもすごく適任だったんです。

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