Special03 全3話連載広告会社と考える「テレビ番組」の可能性 松島俊輔((株)電通)×相川弘隆((株)いまじん代表取締役社長)

テレビ番組の制作には、広告会社が今も昔も密接に関わり合っている。では、具体的にどのような形で番組制作に携わっているのでしょうか。テレビ業界で働いていないとなかなか見えづらい関係性を、このたび株式会社電通のテレビ&エンタテインメント局エンタテインメント事業室映像事業部チーフ・プロデューサーである松島俊輔さんをお迎えして、じっくりお伺いしました。スポンサーがテレビ番組に及ぼす影響や、インターネットや携帯電話で見られる映像コンテンツが増え、本格的なデジタル時代を迎えた映像業界の今後の展望、そして日本人に活力を与える番組への熱い思いなどを、大いに語っていただきました。1965年生まれ。大学院卒業後、株式会社電通に入社。現在、テレビ&エンタテインメント局エンタテインメント事業室映像事業部チーフ・プロデューサーとして活躍中。これまでの主な担当番組に、『劇的紀行 深夜特急』(メ~テレ)、『文芸社ドラマスペシャル』(テレビ朝日)、『となりのマエストロ』(毎日放送)、『世界を変える100人の日本人! JAPAN☆ALLSTARS』(テレビ東京)などがある。1953年8月23日生まれ。1988年に柏井信二(現いまじん会長)とともに「(株)いまじん」を設立。『スーパーテレビ情報最前線』『THE・サンデー』(日本テレビ)など数々の番組を手掛け、2002年には『行列のできる法律相談所』(日本テレビ)を立ち上げる。また、『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ)『世界を変える100人の日本人JAPAN☆ALL STARS』(テレビ東京)のプロデューサーも務める。2009年4月に代表取締役社長に就任。

第1話:「スポンサー」の意向はどこまで活かす?「広告会社」と「テレビ制作会社」の、テレビ番組作りへの関わり方とは

視聴率の「質」こそが大事

対談風景

インタビュアー: —まず、テレビ制作会社と広告会社では、番組制作への関わり方にどのような違いがあるのか、お伺いします。

相川:テレビ制作会社は、基本的に「良質な内容の番組をいかにして作るか」ということに力を注いでいます。良質な番組というのは、視聴者の好奇心を満たしつつ、テレビ局のステーションイメージやニーズとも合うような番組のことですね。仕事内容としては、まず下調べをしてから撮影に行って、素材を編集して完パケするという「実作業」です。

インタビュアー: —番組のいわゆる「現場」仕事が主なんですね。

相川:そうですね。これに対して、広告会社の番組への関わり方は、我々とはバックボーンが違います。最も違うのは、広告会社は「お客さん」を持っている、ということ。番組の利益代表であると同時に、スポンサーの利益代表でもあるわけですね。 ちなみに松島さんは、現在進行形で番組制作にいくつ携わっているんですか?

松島:現在の担当部署としては、レギュラー番組で言うと10本弱でしょうね。

相川:10本ってすごい量ですよね。

松島:そうかもしれないですね。とはいえ、もちろん制作会社とは違い、現場作業にだけに従事するわけではなくて、番組のプロデュースや企画面で関わっています。

対談風景

インタビュアー: —テレビ番組のプロデュースや企画も、広告会社の仕事なんですね。

松島:そうなんです。もともと広告会社は、主として広告を作ってきた会社なんですが、民放は、スポンサーからの広告収入で成り立っているので、両者はそもそも関わりが深いんですよ。

インタビュアー: —なるほど。民放の放送開始当時は、どのような番組が放映されていたんですか?

松島:まだVTRというものが少なかったので、生放送の番組中に生放送のコマーシャル(生コマ)を流していたんです。そのため、当時はスポンサーが伝えたい「商品の情報」と、「番組のイメージ」がとても密接な関係にありました。その頃から広告会社は、テレビ番組の企画やコンセプト作り、さらには制作面でも関わっていたんです。

インタビュアー: —そうだったんですね。現在ではコマーシャルの種類も多様化していますが、番組イメージがスポンサーによって左右されることもあるのでしょうか?

松島:多少ありますね。視聴率の測定が始まってから、マーケティングを用いた番組制作が重要視され、ドラマやドキュメンタリーといったジャンルを含め「スポンサーの求める消費者像」に合わせた番組作りを意識するようになりました。ただ、最近は「視聴率が全て」という考え方ではいけないとも思っています。

相川:それ、本心ですか?(笑)

松島:もちろんです(笑)。視聴率が同じ10%でも、お笑い番組とドキュメンタリー番組では視聴者層が違うように、番組によって「質」が違ってきますからね。高視聴率の番組でも、スポンサーの求める視聴者が少なかったり、品のない番組だったりすると、スポンサーに不快感を与えてしまうんです。

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