Special04 全3話連載テレビを面白くする「放送作家」 鈴木おさむ(放送作家) × 相川弘隆(株)いまじん代表取締役社長

第2話:人を育てるってホントに大変!いい人材を育てる「コツ」って? 人気番組を生み出す苦労も語ります!

テレビを作るセンスは教えられない

対談風景

鈴木:いまじんさんって、ディレクターの採用はどうしてるんですか?

相川:基本的には、毎年新入社員を取っています。これはもう、20数年頑張ってるんですよ。それから、番組をやっているうちに仲良くなったフリーの人を採用したり。基準としては、僕やうちのディレクターにないものを持っていて、条件的に難しくない人をいつも求めています。インターネットでも中途採用の応募をしていますよ。

鈴木:いま、ディレクターは何人いらっしゃるんでしたっけ。

相川:チーフをしてる社員は、10名くらいですね。

鈴木:これは答えにくい質問かもしれませんけど(笑)、ひとつの番組を「総合演出も含めて全部任せます」って持ちかけられたときに、安心して任せられるのはそのうちの何人ですか?

相川:シリアスな質問だね〜(笑)。でも、若いのも含めて5人はいますよ。

鈴木:すごいですね! VTRをカタく作れる人はどこの会社にもいるんですけど、ひとつの番組の総合演出ができる人ってなかなかいないんです。これは大きい制作会社だから多いわけでもなくて、会社の教育方針によるんですね。

相川:難しいのは、チャンスを与えないと人材って育ちませんよね。でも、それで失敗したとすると、会社として責任を取らないといけないから、リスキーなんです。
テレビ局側には「こいつ、初めてだからちょっとよろしく」って言っておいたり、保護策を講じておく必要はありますね。
ただ、いくら「人材を育てる」と言っても、センスの有無は歴然としてるんですね。これは入社試験の答案でも、会話でもなかなかわからない。そこを見極めるのは、本当に難しいんです。

鈴木:VTRの編集方法は教えられても、センスは教えられませんからね。あるテレビ局に、いま5年目なんですが、有名大学出身の同期に囲まれて、まったく有名じゃない大学出身の社員がいるんですね。でも、すごくガッツと才能があるんです。彼のような人に会うと、人事担当者も、しっかり見てるんだな〜って感心しましたね。

チャンスはガツガツしてつかめ!

対談風景

鈴木:逆に、アシスタントディレクターとしては優秀だったのに、ディレクターになると急に良さが出なくなる人もいますね。

相川:それはすごく多いですね。アシスタントディレクターとして優秀だと、細かい段取りばかりに目がいっちゃうんですよね。だから、「番組のテーマや方向性をしっかり伝える」というディレクターとしての役目を発揮しにくくなっちゃうんです。

インタビュアー: —テレビ制作会社として、こういう人材を育てたい、という意識はあるのでしょうか?

相川:方針としては、テレビ制作の屋台骨になるようなディレクターと、小回りの利くプロデューサーとがバランスよくいる会社を目指してますね。で、彼らに心酔してついていってくれる若い人材がいる構図が作れればいいな、と思います。

鈴木:でも、責任持って会社で人材を育てていくのって大変ですよね。僕にも弟子がいるんですが、僕が出演しているラジオに勉強のために彼をスタッフとして入れたんです。でも正月を迎えたとき、お世話になっている番組スタッフの誰にも年賀状や年賀メールを出さなかったらしいんです。そしたらラジオのスタッフさんが「僕が、こんなことを言うのもなんですが、出した方がいいと教えてあげた方がいいんじゃないですか?」って僕に言ってくれたんです。スタッフさんにそんなことで気を使わせるのが申し訳なくて。で、その弟子に「なんで出さなかったんだ」って聞いたら、「だってガツガツしててカッコ悪くないっすか」って(笑)。「若いうちにガツガツしてチャンス掴まないでどうするんだ?」って説教しましたけど、げんなりしましたね。

相川:その彼の場合、けっこう基本的なところでつまづいてるね(笑)。でも、先輩がしっかり言ってやらなきゃいけない局面は多いですよ。じゃないと結局、優秀な作家が育っていかないわけですから。いまテレビを取り巻いている環境って生易しいものじゃないから、余計にそうなんだよね。

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